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2023IMG Academy Discovery Open Tennis滞在記⑵

IMG Academy滞在記⑵

Japan Sports Training佐藤政廣

テニスの素早い進化に

2023/5/8


今回の2023 IMG Academy Discovery Open Tennisでは、参加したどの国の選手たちも個性に満ちた、自由な発想のテニスに終始していることにあった。フォームも戦術も多様で、次にどのようなショットを繰り出すのか、プロの試合にも負けない、奔放さがちりばめられている。テニスの上達にはすでに滞在記⑴でお話しした通りだ。

勉強では物事や社会の成り立ちについて基盤つくりを学校で学ぶのと同じように、テニスについてもプレイヤーの基盤となるフォームや体力つくりを日々の練習で重ねている。

 とすれば「どこにゲームや勝利の差いかんが決まるのだろうか。」

 テニスにとって大切な要素として、技術・体力・戦術があるのは承知していることと思う。そして、現代テニスがそれらの安定性とスピード・パワー力が加わってゲームは展開すると私は伝えてきた。そのうえでここ10年間はDiversity/多様性ということが加わってきた。

つまり、プレイヤーは、攻守を持ちながら、ネットプレーヤー・ベースライナーというスタイルに評示されてきたが、今や、世界のトップを見る限りすべてのこれらの評示を有していなければならないというエポックに入っている。All Court PlayerとIMG Academyが表現するように。実は、世界はこれらの要素を取り入れて日々のトレーニングに取り組んでいる。

 ITF国際テニス連盟がかつてからFormよりGameと提唱してきたのはこのことであるが、ただしく理解してもらいたい。

 もう一度繰り返す。「どこにゲームや勝利の差いかんが決まるのだろうか。」私は考える。才能というカテゴリーには、先天的なGiftedとトレーナビリティーにより開花できるTalentedがある。これは、もう30年前にドイツのリチャード・ショーンボーンの著書に記されていたことである。その、Giftedの8要素に「知性」という大切な要素がある。知性は「創造性」に、創造性はインテリジェンスと言われる「戦略・戦術」に育まれている。

 さて、この戦略に従った戦術の展開こそゲームや勝利の差につながる。囲碁や将棋のようにどれだけの手の内になる石や駒を持っているかに似ている。

 それは、テニスは相手という存在に対して、「咄嗟的」な「判断力」により「もちうべき、どのようなショットを駆使し展開するのか」、それも瞬時に発揮するためにはどうすべきなのかに象徴されるスポーツであると私は考える。

 テニスの歴史をスピードという観点から振り返ってみると、マクロ的に見て、1945年を境にしてあらゆるスポーツはスピード化した。それはコーチングの科学的な発展、日常的には新しい素材を活用した用具の研究によりもたらせられたものがいかに合理的・効率的にワンショットに発揮させることにつながった。そして、ゲームの進め方がよりゲームをスピード化したミクロ的な視点からすれば、ポイント間らある秒単位の許容性にもスピード化に影響をもたらした。

 想像力と創造力に満ち溢れるこのGolden Ageと呼ばれるこの時期にIMG Academy Discovery Open Tennisは開催される。そこに集まるユースたちは自由奔放な想像性と創造力が輝いている。

 彼らを支える私たちのミッションが分かってくる。ニックは教えてくれた。「決められた方法は一つではない、いろいろとあってよい」と。テニスへの取り組み方、人生の生き方、それらは多様である。この多様性/Diversityをテニスにとらえて教えてくれたのがニックである。

 大会の最終日、ニックの立像のあるStadium Courtで香川荘太が一位の順位を決める彼のゲームを見せてくれた。そして、瞬時に「競うことができる環境を作ること」と再確認させてくれた荒井貴美人の言葉を思